離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 オノデラ貿易創業50周年の記念パーティは、日曜の夕刻から都内一流ホテルの大広間で行われていた。

 ホテルでタクシーを降りた時から、純玲は夫を同伴したことを後悔し始めていた。
 多くの視線がこちらに向いている。パーティ会場に入ってからは猶更だ。

(泰雅さんが全方位イケメンだってこと忘れてた……!)

 今日はあまり目立たないようにして、頃合いを見て退出させてもらおうと思っていたのに、彼が隣にいるだけで注目を浴びてしまう。

 なんせ今日の泰雅はブラックタキシード姿。
 彼の長身で均整の取れた体つきに沿うようにオーダーされたそれを纏う彼は、存在自体がフォーマルだ。
 普段スーツ姿を見慣れている純玲でも思わず見とれてしまう麗しさだ。

 それなのに『男のタキシードなんてパートナーの女性の魅力を引き立たるためのもの』と言ってはばからないのだから、さすがアメリカ帰りだ。

(引き立てて頂くだけの魅力が私にはないです……)

 純玲も泰雅と選んだ青紫色のドレスにブレスレットを身に着け、美容院で髪もハーフアップにセット、メイクもしてもらった。自分ではなかなか素敵になった気がしたのだが、当社比にすぎない。
 ハリウッド俳優見まごう男性の横に妻として立つことにどうしても気後れしてしまうのだ。
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