離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 そんな殺伐とした百田家に引き取るより、養父母のように暖かい両親に育てられた方が純玲にとって幸せだろう。
 そう雄一郎は判断したのである。

 DNA検査で血の繋がった娘であることを証明しておき、神崎と信用できる弁護士にだけその事実を伝え、もし自分に何かあっても、純玲が困らないだけの援助をするように手配をしていた。

(公園で遊んでいて男の人に話しかけて怒られた記憶ってやっぱり……)
 ここまでの話は純玲も神崎に聞いたもの同じだ。
 
 改めて幼い時の記憶を思い起こす。
 細かいことはやはり思い出せないが、あの時の“お兄さん”は社長だったのかもしれない。

「それなら……なんで今頃になって」
 泰雅が絞り出すような声を出す。

「純玲さんの近況は定期的に調べさせていましたから把握していました。百田に入社したのも。佐久間肇と付き合っていたことも」

 佐久間の身辺調査をしたところ、表面上は好男子を装っているが女遊びも多く人間的に問題があり、純玲にはふさわしくないと判断した。
 また、小野寺瑠美が入社してきたことを切っ掛けに小野寺本家が純玲にしてきた精神的仕打ちも知るところになった。
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