離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
「……幸せに、なりなさい」

 母の横で父も顔をくしゃりと歪めて涙を堪えているようだ。
 すでに嫁に出していても結婚式というのは一つの区切りとして、胸にせまるものがあるのだろう。
 まして、ここに至るまでにいろいろあった親子関係だ。

「うん……ありがとうね。幸せになる。でも、これからもよろしくね。おじいちゃん、おばあちゃん」

 純玲はお腹に手を添えてにっこり笑う。

「そうだ。そうだな……じいじになるんだな」

「私、孫には、ばあばとかおばあちゃんじゃなくて、雪乃さんって呼ばせようかしら」

「おいおい。それはずるいぞ」

 両親はいまから孫の誕生が楽しみでしかたないらしく、里帰り出産できるように今から張り切ってベビー用布団やら新生児用の肌着を買い集め始めているらしい。

(本当ありがとう……お父さん、お母さん)

 両親への言い尽くせないほどの感謝の気持ちは、これから自分が家庭を築き幸せになることで少しづつ返していきたいと思っている。

 親子で談笑しているとカチャリ、とドアが開き新郎が入ってきた。

「仕度終わったのか」

「はい」
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