離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
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「……僕はいつの間に御社の社員に転職したんでしょうか?」
ゴールデンウィークが終わり2日後、泰雅は百田ホールディングスの顧問弁護士として社長と神崎に同行し、都内にある買収先の企業を訪問後、彼らの車で社に戻るところだった。
腹の探り合いをしていた頃とは違い、最近は頻繁に社長直下の案件の対応依頼や今日のよう企業への同行が求められることがある。
もちろん弁護士として企業法務の知識が必要とされているからだろうが、最近社長にこき使われている気がしてならない。
笑顔で言った嫌味に運転席の神崎は苦笑している。
「もちろん、白石先生は我が社の頼れる顧問弁護士です。きちんと高梨所長には話は通してありますから」
そういう神崎も食えない人物だ。社長の腹心として長年仕えているが、純玲を百田に入社させたのは彼の差し金だろうと泰雅は思っている。
百田の入社試験を受けたのは大学の教授に『受けるだけ受けてみたら』と熱心に勧められたからと純玲が言っていた。
その教授に神崎が何らかの働きかけをしたことは想像に難くない。今となったらどうでもいいことだが。