離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
――『ふふ、白石先生と結婚出来るなんて素敵ですね。わかりました。契約します! よろしくお願いしますね』

 昨日ノリで答えてしまった自らのセリフを思い出す。残念ながら記憶はしっかり残っている。

「で、でも……」

 想定外の展開に混乱していると鞄の中でスマートフォンが震えて着信を告げる。画面をみると母からだった。

「お母さんからなんですけど……」
 嫌な予感しかしない。

「純玲のお母さん、ずいぶんはしゃいでいたからな。出てあげて」

 泰雅に促されて通話ボタンをタップする。

『すーちゃんったら、結婚したい相手って白石先生だったのね! 何で会社の先輩だなんて嘘吐いてたのっ!』

「お、お母さん……」

 繋がったとたんに母の甲高い声が耳に響く……確かにはしゃいでいる。

『今朝早く先生が見えられて『純玲さんをください』って頭下げてくださったのよ。あなたも了承済みなんでしょう?』
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