離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
母の話によると、純玲は恥ずかしがって黙っていたけれど、純玲が大学に入った頃からふたりは交際を始めた。
4年前、泰雅の留学で遠距離恋愛になっていたが、泰雅は帰国を機にプロポーズし純玲は受け入れた。
本当は今日ふたりで挨拶にいくつもりだったが、泰雅に急な仕事が入ってしまい、とりあえず帰国の挨拶も兼ねて、泰雅ひとりで結婚の許しを貰いに行った……ということらしい。
さすが泰雅だ。多少無理がある説明も今までの信頼と実績で完全に両親に受け入れられている。
どうやら純玲が惰眠をむさぼっている間に外堀は彼によってコンクリートを流し込まれ埋め固められていたらしい。
「お母さん、あのねっ……」
それは違うの、と言おうと思った純玲だが、母の勢いに押されてうまく言い出せない。
『お父さんもお母さんも、あなたが好きになった人ならと思っていたけど、白石先生なら安心してあなたを任せられるわ。お父さんも喜んじゃって、今日はお祝いに全メニュー半額にしちゃおうかなんて言い出して大変よ。でも本当に良かった……きっと、真紀も、喜んでるわ……』
母の声のトーンが急に落ちる。実母の名前まで出して、涙に声を詰まらせているようだ。