離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました

　東京の高級住宅街成城にある白石家は立派な門構えの邸宅で、住む人たちも立派だった。
　
　泰雅の父は法務省で事務方をしているらしいが、気さくな人だったし、母も外務省に勤めながら子育てをしたというキャリアウーマン。さっぱりした性格の人だったので、純玲は心底ホッとしたのだった。

　挨拶と並行して進めていた引っ越しも早々に済み、入籍から２週間後には泰雅の住むマンションへの引っ越しが完了してしまった。

　東京駅から歩けてしまうという超が付く一等地に佇むこの高級マンションは、泰雅の帰国にあたり会社を経営する彼の兄夫婦が資産目的で所有していた物件を彼が『格安』で買い上げたらしい。

　彼は『勤め先の大手町から徒歩圏内で便利だけど、ひとり暮らし前提で買ったから、新婚生活にはちょっと手狭かも』と言っていたのだが、広々設計の３LDKだったので純玲が転がり込んでも十分に広い。

　落ち着いたシンプルモダンな内装、キッチンや水回りも最新設備だし、上層階なので眺めも非常に良く開放感があった。

　洗面室に行き、軽く身支度した純玲はその開放感のあるリビングダイニングのドアを開ける。

「朝食、作ってもらっちゃってすみません……」