離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
「簡単なものだけだから。ほら座って」

 そう言うとダイニングテーブルの上にトーストやサラダ、トマトジュースなどを次々と並べてくれる。

 Tシャツとスウェット姿というラフな格好なのに、まったくだらしなく感じないからイケメンはズルいなぁと思う。

 ふたりで席に着き、純玲はいただきますと手を合わせてからトマトジュースを飲む。味が濃くてお肌にいいリコピンがいっぱい入っていそうだ。

「おいしい。健康になれそうな味がします」

「君は新しい職場で大変だろう? 少しでも栄養を取った方がいい」

 泰雅はトーストを食べながら言う。これは彼が昨日東京駅で目に付いたからと言って買って来た高級食パン専門店のものを厚切りにしたものだ。

 確かに純玲は異動になってから日が浅いため業務を覚えるのに苦労はしているが、弁護士として飛び回る泰雅の方がはるかに多忙だと思う

「いえ、泰雅さんの方が大変じゃないですか。今日は東京オフィスですか?」

「いや、横浜で顔合わせがあって、午後は八王子のクライアントのところに行く」

「昨日は名古屋へ日帰りだったし、やっぱり大変ですね」
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