離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 彼は今、主に企業法務を担当しているという。いくつかの企業の顧問弁護士になる予定になっているらしい。

「まあ、想定内だったし、もう少しすれば落ち着くと思う。一段落したら君をウチのオフィスで紹介するから」

「はい」

 泰雅は既に事務所で結婚を報告し、目論みとおり所長の娘との縁談はなくなったらしい。ただ、後日純玲は妻として事務所に挨拶に行く予定になっている。

(うーん、契約とはいえ、私に弁護士の奥さんが務まるのかな)

 しかもこの完璧な人の横に立つのだ。不安しかない。かといって急に美女にも才女にも、はたまた令嬢にもなれない。

 だからせめて忙しい彼の役に立ちたいと、家事をがんばろうと思っていたのだ。店を切り盛りする両親の為に家事はよく手伝っていたから一通りのことはできる。
 
 泰雅は家事は協力してやればいいし、お互い働いているのだからハウスキーパーを頼めばいいと言ってくれていた。

 でも、彼を自分でサポートしたいと思った純玲は率先しようとしているし、そこそこ出来ていると思う――朝食作り以外は。
 
 毎日泰雅は純玲より朝早く起き、軽くジョギングし汗を流した後こうして朝食の準備までしてくれる。
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