離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
(それに引き換え私は……毎朝起こしてもらっているし。これもベッドの寝心地がいいのがよくない)

 純玲は心の中で見当違いな言い訳をしてみる。

 広いから一緒に使えばいい、と言われた寝室のベッドはキングサイズのものが一つだった。
 
 初めそれを見た純玲はかなり戸惑った。

 酔った勢いとはいえ既に肌を重ねてしまっているし、とか、契約とは言え夫婦だし、とかいろいろ並べ立て自分を納得させていた。

 しかし彼はあれ以来今まで純玲に触れる事はなく、同じベッドに入っても何か起きることはなかった。適切なディスタンスを保ったままだ。純玲は妙な肩透かしを食らってしまった。

(あの夜は終わったこととして、泰雅さんは私との関係をあくまで契約者として仕切り直してるんだろうな……いやいや、別にがっかりしてないし)

 自分ばかり変に意識してめちゃくちゃ恥ずかしい。なんともいえない気持ちになったが、寝るのが大好きな純玲はすぐに彼が隣で寝ていることに慣れ、安心感すら覚えるようになった。

 その安心感と、高級マットレスの素晴らしい寝心地の相乗効果でしっかり余分に眠ってしまうのだが。
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