離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 当初、そんな雲の上というか、成層圏の上におられる方に仕えるなんて純玲は内心腰が引きまくりだった。
 しかし、社長に直接関わる業務は第一秘書の神崎が殆ど取り仕切っていて純玲はお茶出しや、お出迎え位しかしていなかった。
 
 後からその神崎も入室してくる。社長と同年代の男性で、秘書らしい清潔感があるナイスミドルだ。純玲と挨拶を交わすと社長のデスクの前に立ち、早速今日一日のスケジュールを説明する。

 その間に純玲は豆を挽きコーヒーを淹れ、タイミングを見計らい、コーヒーをお出しする。決まったルーティーンだが社長の近くに立つとやはり緊張してしまうのだった。

 その日の定時後、純玲は社長室の秘書専用デスクで英文資料の翻訳を行っていた。
 明日の朝一番の経営会議に掛けるM&A先の新しいデータらしい。情報が入って来たのが定時直前で、急遽対応を頼まれ、残業になってしまった。

「小野寺さん、終わりそう?」

「はい。あと少しで見て頂けそうです」

 社長を自宅まで送りとどけた神崎が戻ってきて純玲に声を掛けてくれた。

 こういう極秘資料を扱うのも純玲の仕事だ。緊張しつつなんとか終了し、チェックしてもらう。
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