離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました

　現在身体は回復し問題はないのだが、これを機に社長の体調を近くで気遣う人間を増やしたいという理由もあり、純玲は社長付に抜擢されたらしい。

「もう僕ら、がむしゃらに働くというより健康第一なんだよ」と神崎は笑う。
「もちろん、小野寺さんの秘書としての能力も期待してるけれど、同時に社長の体調を気遣ってもらいたいんだ」

　その言葉になおさら自分が抜擢されたことに戸惑う。責任が重すぎないか。

「私なんかでお役に立てるでしょうか。まだ、社長とはほとんどお話したことないですし」

「大丈夫だよ。社長、君がいれる毎朝のコーヒー美味しそうに飲んでるし」

「そうでしょうか」

　社長がコーヒーを飲む表情をじっと見ているわけではないので本当かどうかはわからないが、喫茶店の娘としてコーヒーの淹れ方の基本は押させている。少しは気に入っていただけたのかもしれない。

「わかりました。でも、神崎さんこそ社長と一緒にずっと働いてこられたんですよね。無理しないでくださいね」

　純玲が言うと神崎は柔和な顔をさらに崩して笑う。

「優しいこと言ってくれるね。おじさん嬉しくて泣きそうだ。じゃあ、僕にもおいしいコーヒー淹れてくれるかい？」