離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
「はい、もちろんです」
 純玲も笑い返す。

(お父さんに最高級の豆を分けて貰いに行こう。淹れ方も改めて教わりたいな)

 今の所役に立っている実感はないが、ここにいる以上、やれることをしっかりやっていこうと思う純玲だった。


(やっと週末だぁ、今日はそんなに遅くならなくて良かった)

 やれることをしっかりやっていこうと、心新たにしてから一週間。それまでより緊張感を持ちながら仕事をしてきた。

 週末の開放感を感じながら純玲は帰宅の途につく。
 この高級マンションのエントランスを通るのも当初は違和感しかなかったが、だいぶ慣れてきた。

 泰雅は相変わらず忙しく帰宅が遅いが、遅くなっても夕食は家で純玲の準備したものを食べてくれる。でも会食などで不要な時は必ずあらかじめ伝えてくれる。なんともよくできた旦那様だ。

(お腹すいた……夕ご飯、買い物に行かなくても何とかなるかな)

 冷蔵庫の中身を思い出しながら部屋のドアを開けると、照明が付いている。既に泰雅が帰宅しているようだった。

「え、泰雅さん?」

 しかもスパイシーで美味しそうな香りまでしてくる。キッチンを覗くと泰雅がキャベツを持って立っていた。
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