離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 今日の昼休みも、自社ビル内にあるカフェテリアで泉が来るのを待っていると、瑠美と数人の女子社員がわざわざ自分の近くに席を取って話しかけてきた。

「『肇さんと、このメンバーで来週私たちの婚約祝いのお食事に行くの。純玲ちゃんも一緒にどう? だって従姉妹だもの、祝って欲しいわ』……ていう話をされましたので、あのふたり結婚するみたいです。さすがに食事には行きませんけど」

「当然だろう」

 泰雅の声は平坦だが顔が険しくなっている。純玲はふうと諦めの溜息をつく。

「昔から彼女は私のことが嫌いなんです。きっと血が繋がらない人間が小野寺家に入り込んだことが気に入らないおばあさんや、叔父さんたちにいろいろ言われて育ったからだと思います」

 純玲が小野寺の本家で暮らしていたのは小学6年生くらいまでだった。
 当時オノデラ貿易の社長だった父は純玲を私立の小学校に通わせてくれていた。
 しかし、小学校の思い出はあまり良くない。

『あの子、お家の本当の子どもじゃないんだって』

 小学校中学年くらいになると、そう陰口を言われるようになった。
 同じ学校に通う2つ年下の瑠美が、『純玲ちゃんは、貰われっ子なんだよ』と噂を流していたようだ。
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