離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 バレたと思った。というか、触れないようにしていただけで元々バレていたのだろう。

 鋭い指摘に純玲は恐る恐る泰雅を伺う。眉間に皺が寄り、なんとなく不機嫌そうに見える。本当の『確認したいこと』はこれだったらしい。

「従姉妹にいいように言われているのも、会社で結婚報告をしていないからじゃないか?」

「私のことを言われる分には別に……それに新しい職場でいきなり結婚しましたって言い出しにくくて」

 ただでさえ最近自分は人の噂に上りがちだ。これ以上注目されたくなくて後回しにしてしまい、今日に至っている。

「それは俺との結婚が恥ずかしいものだと思っていると取れるんだが? お互いの義務はちゃんと果たすべきだ」

「うっ……」

 義務と言われると辛いが、なんとか言い訳を重ねる。

「時期をみて、その内にと思っていました」

「そういう言い方をする人間の“時期”や“その内”いうのは大抵いつまでたってもこない」

 表情を崩さない泰雅に、畳みかけるように言われる。彼に口で勝てる訳がない。

(うぅ、先生、弁護士じゃなくて検察官の方が向いてるんじゃないですか)
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