離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
「……何だか寝心地がよくて安心してしまってですね」

 そんなことを頬を撫でられながら言われても困る。いろんな恥ずかしさで居たたまれなくなってくる。

「そうか。安心して眠れるのはいいことだ。でも、君が俺の妻だという自覚がないなら、この先夫婦としてボロが出かけない」

「だ、大丈夫です! ちゃんと自覚持ちますし、早めに会社にも報告します。泰雅さんのお勤め先にもご挨拶に行きます」

「信用できないな」
 言いながら純玲の腰に回っていた方の手に力が入り横抱きのままグッと引き寄せられ、さらに身体が密着する。

「ど、どうしちゃったんですか?泰雅さん、急にこんな……」
 彼の発する色気がすごい。一緒に暮らし始めてからこんなに近づくのは初めてだ。純玲の心臓は困惑と焦がれるような感情によって鼓動を早めていく。

「急でもない――安心しきっていた君が、気づかなかっただけだ」

「え、それって?……んっ!」 

 頬を撫でていた方の手が後頭部に回り引き寄せられる。言葉を続けようと開いた口は彼の唇で塞がれた。

「んっ……!」
 久しぶりのキスは初めから呼吸を奪うような深いものだった。しばらく純玲の唇を味わってから、泰雅は鼻先で言う。
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