離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
「契約を継続するために必要なことが生じたら、双方誠意をもって話し合うことにしていたはずだ。夫婦の関係に真実味を持たせるため、これからはもっと君に触れたい……あの夜みたいに」

 それは、契約をつつがなく進行するため本当の愛は伴わない行為をするということだ。わかっていたこととはいえ、純玲の心は僅かに軋んだ。

(でも、私……こうやって泰雅さんに触れられるの、やっぱり嫌じゃない)

 キスをやめた彼の唇は耳たぶを食み、大きな手は部屋着を捲りウエストを直接撫でる。純玲の身体は初めての夜を思い出し疼き始めてしまう。それが恥ずかしくて戸惑いの声が漏れる。

「あ、あの……」

「純玲……いいか?」

 拒絶の言葉を言わせるつもりはないのか、泰雅は純玲の耳元に唇を付けたまま、低く甘い響きを流し込んで返事を促してくる。
 
 やはりこの声は駄目だ。一気に判断能力を失わせてくる……媚薬のようだ。

「っ、……は……い」
 操られたように返事をしてしまう。

 純玲の合意を得た泰雅は純玲を横抱きにしたままおもむろに立ち上がる。

「た、泰雅さん!?」
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