離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
 軽々と抱き上げられ、視線が高くなる。かの有名な“お姫様だっこ”の状態に驚いてしまう。

「ん? ソファーの方がよかったか?」

 俺の奥さんはなかなか大胆だな、と笑う泰雅がなんだか余裕で悔しい。でも純玲には太刀打ちできない。
「べべ、ベッドでお願いします……」

 泰雅の首に縋りつきながら、か細い声でうったえると、彼はそっちはおいおいだな、と不穏なことを言いながら純玲を寝室に連れて行くのだった。



「ねぇ、泉、今週どっかで時間とれない? ご飯いこう」

 週が明け、月曜日。出勤した純玲は泉に声を掛けた。

 先週末“自覚”をしっかり促されてしまった純玲は覚悟を決めて会社で結婚報告することにした。
 しかしまずは友人の泉に報告してから。肇と別れた時は噂で知らせることになってしまったから、今度は自分の口で伝えようと思ったのだ。

「いいわよ、なんなら今日行っちゃおうか。月曜からガッツリ食べるのも良くない?」
 
 泉は早速話に乗ってくれる。夫同様彼女もフットワークの軽い人だ。

 たしか泰雅は新しく着任する顧問先の企業に行くため帰宅時間は分からないから今日の夕食はいらないと言っていた。ちょうどいいかもしれない。
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