離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
「え、ちょっとまって、全然状況が飲み込めないんだけど。奥さんって、純玲、この人と結婚したの!?」

 いよいよ大きくなる泉の声と反比例して純玲は小さくなる。

「そ、それをこの後説明しようかと思ってたの……」

 ずっとこちらを睨みつけていた瑠美が、信じられないと声を張り上げる。

「嘘よ、純玲ちゃん、最近別れたばかりじゃない。そんな急に結婚なんてできるわけがないわ!」

 泰雅はふぅと溜息を吐くと、初めて瑠美たちの方を向き冷えた声を放つ。

「普通はそうでしょうね。でも俺はずっと純玲を好きで狙っていたんですよ。恋人がいると聞いて諦めていましたが、別れたのがチャンスだと思って速攻口説いて、結婚まで受け入れて貰ったんです。もう離したくないっていう俺の我がままでね」

(そ、そういう“設定”なのね……)
 演技だとわかっていても彼の熱烈な台詞に純玲の胸はドキドキしてしまう。

「本当に愚かで見る目が無くて間抜けな男に感謝してますよ。手放してくれたお陰で純玲は俺の物になったんだから」

「な……っ」
 瑠美も肇も絶句している。泰雅は余裕の笑顔を浮かべると、純玲の腰に回していた手に力をいれさらに抱き寄せた。
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