素直になれないお姫様の初めてのベッド事情
「千歳っ」 

気づけば、私は、その後ろ姿に、思わず抱きついていた。   

「え?……びっくりした。実花子?」 

千歳が、振り返ろうとするのを、制するように私は、首を振った。

「側にいるって言ったのに……帰さないで」

「実花子……手、離して……」

「え?……」

千歳は、私の手をそっと振り解くと、すぐに私の身体は、息ができない程に千歳に、キツく抱きしめられる。

「……いつからこんなに実花子の事、好きになったんだろ」

千歳の言葉を頭の中で、何度も反芻しているうちに、鼓動は、激しく音を立てて息が苦しくなる。

千歳が、私に視線を合わすと、涙を掬いながら、ふっと笑った。

「千歳?何……?」

「いや、実花子から、そんな風に見つめられると、照れるなって」 

「……どんな……顔してる?」

千歳が、意地悪く唇を持ち上げる。

「僕の事が、好きでたまらないって顔してるよ」
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