素直になれないお姫様の初めてのベッド事情
「実花子?どした?適当に座ってて」

「あ、うん」

私は千歳に気づかれないように、小さくため息を吐き出した。

千歳の部屋は、私の部屋より随分広めで、2DKの間取りだ。ダークブラウンを基調とした、チェスト、ダイニングテーブル、テレビボードが揃えられていて、どれも私が密かに狙っている、インテリアショップUNICON(ウニコン)の物で統一されている。

「こんなに綺麗にされたら、歴代の彼女、嫌がってなかった?」

「どうだろ、分かんない」

さりげなく、千歳の元カノの事が気になって聞いてみたが、千歳はいつも通り涼しい顔したまま、キッチンから返事が帰ってくる。

今まで、気にしてなかったが、私が知ってる限りでも、入社してから千歳が、数人の女の子と付き合っていた事は知っている。

どの女の子とも長続きはしなかったけれど。

「てゆうか、仕事納めの日だったのに、千歳早かったのね」

「うん、どうせ実花子は、ギリギリまで働くと思ってたし、早く家に帰ってご飯作って実花子に食べさせたかったしね」

「私、餌付けされにきたんだ」

「まあね、いいかげん座ったら?」

千歳が、呆れたように笑うと、ダイニングテーブルの椅子をひいた。
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