素直になれないお姫様の初めてのベッド事情
千歳は、元から飄々としたとこがあって、分かりづらいが、私とクリスマスを過ごして、キスをして、抱き合って眠った事をどう思ってるんだろうか。

直接、付き合って欲しいと言われた訳でもなければ、付き合ってくれと告白した訳でもない。

それでも、千歳が当たり前のように、『明日は僕ん家にご飯食べにおいでよ』

とラインにメッセージが入った時は、心臓が飛び出そうだった。

(付き合って……るんだよね?)

私は、期待しているクセに、ご飯を食べ終わったら、千歳にあっさり自宅に帰されることも想定して、不自然に思われない程度の大きさの鞄に、化粧品や、眼鏡といったお泊まりセットを詰め込んできた。

そして、千歳の部屋に来る前に、念の為、シャワーも浴びて、手持ちの物で一番可愛く、かつ色気もある、レースの淡いピンク色の下着をちゃっかり付けてきてしまった。

「はい、どうぞ」

「わ、お店みたいじゃない」

千歳は、白いマイゼンの深皿にレストラン顔負けの煮込みハンバーグをよそうと、上から細かいパセリをかけた。

タイミング良くオーブンで焼きあがったフランスパンを並べると、冷蔵庫から、缶ビールと、カシスオレンジの缶チューハイを取り出す。

「お腹へったね、食べよ」

千歳は、綺麗な二重瞼を細めると、缶ビールのプルタブを開ける。

私もカシスオレンジのプルタブを開けると、缶を傾けた。
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