俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
外科医としても優秀で、一目置かれた存在の早瀬先生だけれど、見た目もとても魅力的な男性だ。
きりっとした形のいい眉に、くっきりとした二重の目。鼻筋も高く、全体的に彫りの深いはっきりとした顔立ちをしている。
ただ、ちょっと残念なのが忙しさのあまり髪にまで気を使えていないのか、黒髪の短髪にはたまにだけど寝癖が残っていることがある。
実は今も右耳の上あたりの髪がぴょこんと跳ねているのが気になっていた。
そこをじっと見ていると、私の視線に気付いたのか早瀬先生と不意に目が合ってしまい慌てて逸らす。そのまま残りの昼食を食べ進めていると「そういえば」と未華子先生が口を開いた。
「芙美ちゃん、来月のゴールデンウィークは実家に帰るって言ってたよね」
「はい」
頷いてから、箸が止まってしまった。
〝実家〟というワードを聞いて、ずーんと気持ちが重たくなるのは、訳あってその場所に帰りたくないからだ。
「あれ? 芙美ちゃん、浮かない顔してるね」
そんな私の気持ちが表情に出ていたのか、未華子先生がじっと見つめてくる。