俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない

「もうすっかり芙美ちゃんのことを自分のテリトリーに入れて囲い込んでいるでしょ。早瀬くんとは付き合いが長いからわかるんだよね。芙美ちゃん、早瀬くんのタイプど真ん中だし」
「俺のタイプ?」
「放っておけない系の女の子。ほら、子供の頃に雨に濡れてボロボロになっていた野良猫を見つけて、家に連れて帰ったことがあったでしょ。おじさんとおばさんに反対されても絶対に飼うって言い張って、かいがいしく世話してたじゃない。ああいうか弱い存在に早瀬くんは弱いよね」
「猫とあいつを一緒にするなよ」

でも、さすが幼馴染だけあり成田は俺のことがわかっている。

確かに俺は芙美が困っていたり、泣きそうになっていたり、傷付いたりしている場面に弱い。つい手を差し伸べたくなってしまう。

再び芙美に視線を戻せば、ちょうど彼女も俺たちに気が付いたようだ。

成田を見てぺこりと頭を下げ、次に俺を視界に捉えると女の子に向けていた笑顔とはまた違う、頬を染めてはにかむような笑顔を浮かべる。

その表情に不覚にも胸が甘く揺さぶられた。

初めて彼女を抱いたのは一週間ほど前のこと。あのときの余韻がいまだに体の奥に甘くくすぶり続けて、俺の中の芙美に対する気持ちが日に日に増している。

なにかあともう一押しあれば簡単に落ちて抜け出せなくなりそうなところまでは、おそらく芙美に惹かれている。
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