俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない

「でも、早瀬さんなら患者の死を目の前にしても素早く気持ちを切り替えられそうな強靭なハートを持っていそうなイメージありますよね。でも、ちゃんと弱いところもあるんですね。それ聞いてちょっと励みになりました」
「お前、急に饒舌になったな」

ついでになぜか元気も出ている。さっきまでしょんぼりと丸めていた背中をピンと伸ばした陸が口を開く。

「世の中には完璧な人なんていない。俺も今はまだぜんぜんダメだけど、いつかは両親や芙美ちゃんのお父さん、それから早瀬さんのような立派な医者になります」
「その気合は大事だな」
「はい!」

陸が大きく返事をする声がリビングに響き、それを聞いた芙美がキッチンからクスッと笑う柔らかな声が俺の耳に優しく響いた。


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