俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
「もしかして実家に帰りたくないの? それなら私と一緒」
未華子先生がぼやくように続きを話す。
「父親がさ、早く結婚しろ、いい男はいないのかってうるさいのよね。今は仕事に集中したいし、そもそも結婚願望があまりないからうんざりしているのよ。だから、実家には帰らないようにしてる」
「お前も結婚を急かされてるのか」
早瀬先生がちらっと未華子先生に視線を送った。
「〝も〟ってことは、もしかして早瀬くんも?」
「まぁ、似たような感じだ」
早瀬先生がため息を吐く。それに釣られるように未華子先生もまた小さく息を吐き出した。
「私たち三十六だもん。いつまでも独り身なのが親としては心配なのかもね。それに比べて芙美ちゃんはまだ二十代だから、そこまで結婚を急かされてはいないよね」
「いえ、実は私もおふたりの仲間です」
「えっ、結婚急かされてるの?」
驚いたような表情を浮かべる未華子先生に、私はこくんと頷いた。
「未華子先生と同じで、父親に早く結婚をするように言われています。それで、ゴールデンウィークにお見合いをしないといけなくて」
「お見合い⁉」
「はい。父親の病院に勤務する医師の男性と」
「そういえば芙美ちゃんの実家は病院を経営しているんだよね」