俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない

幸也さんと想いが通じ合ったのはまだ梅雨が明ける前の先月のこと。思えばこんな風に街に繰り出して買い物をしたことがまだ一度もなかった。

私は陸くんの誕生日プレゼントを買うことしか頭になかったけれど、幸也さんはデートだと思ってくれていたようだ。

「その代わり、お前の買い物が終わったら今度は俺の買い物に付き合え」
「幸也さんのですか?」

プレゼントに欲しいものを尋ねても特にないの一点張りだったのに、買いたいものがあるのだろうか。

「わかりました。次は幸也さんの行きたいところに行きましょう。どこにでも付き合います」

これは初めてのデートなのだから、幸也さんにも楽しんでもらいたい。

「それじゃあ、どこにでも連れて行くけど?」

彼の口角がいたずらっぽく持ち上がる。それから私の手を取ると、お互いの指が交互に絡み合うように手を繋いだ。


それからさらに一時間ほど店を回り、悩んだ結果、陸くんへのプレゼントは持ち歩きもできる蓋つきのタンブラーにすることにした。

これなら自宅でも使えるし、大学や実習先の病院にも持っていくことができる。保温と保冷機能が優秀なものを選んだので、今の時期なら冷たいものを、寒い時期には温かいものをいつでもどこでも飲むことができる。

オリジナルブレンドティーを販売しているお店にも立ち寄り、リラックス効果のある紅茶をいくつか購入した。
< 118 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop