俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない

陸くんの誕生日プレゼントを無事に購入してから店を出ると、幸也さんがタンブラーと紅茶の入った紙袋をさり気なく私から受け取って持ってくれた。

「次は俺の番な」

そう言って歩き始めた幸也さんの隣に並ぶ。

このあとは彼の買い物に付き合うが、いったいなにが欲しいのだろう。幸也さんのことだから仕事に使うものだろうか。

そんなことを考えながら駅に向かい電車に乗って移動した場所は銀座だ。

ラグジュアリーブランドの路面店が並ぶエリアを進んでいく幸也さんのあとに付いていく。

「幸也さん、ここは……」

しばらくして彼が足を止めたのは世界的に有名な高級ジュエリーブランド店の前。

私を振り返った幸也さんがゆるりと口角を上げる。

「結婚指輪、まだ買ってなかっただろ」

予想もしていなかった彼の買い物に戸惑ってしまう。立ち尽くす私の手を取ると、幸也さんは颯爽と店内に入っていった。

店員に席へ通される。希望などを聞かれてからさっそくいくつかの指輪を選んで、持ってきてくれた。

幸也さんに促されて、その中のひとつを左手薬指に実際に着けてみる。

「……きれい」

ストレートラインのプラチナリングは全体にダイヤが埋め込まれてきらきらと輝き、いろんな角度から眺めてはうっとりしてしまう。

普段からこういったジュエリーを身に着ける習慣がないのでつい見惚れてしまった。
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