俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
「それじゃあ、お父さんの決めた相手と結婚したら芙美ちゃんはここを辞めて地元に帰るってこと?」
「そうなると思います。そもそも父は私の仕事にあまりいい顔はしていないので」
だから自分の病院に勤務する医師の中でも特に優秀な男性と結婚させて私を地元に戻そうとしている。結婚後は専業主婦になるようにも言われていた。
「そんなの嫌よ! 芙美ちゃんがここを辞めるなんて絶対にだめ。芙美ちゃんはうちの病棟にとって必要な存在なの」
「未華子先生……」
憧れの女性にそこまで強く引き留めてもらい、それだけで泣いてしまいそうだ。
「ほら、早瀬くんもなにか言いなさいよ」
未華子先生が隣に座る早瀬先生の肩を軽く叩く。
すでに昼食を終えている彼は、私のお見合い事情には興味がなさそうで、テーブルに頬杖をついて窓の外をぼんやりと眺めていた。
けれど、未華子先生により強制的に話題に参加させられそうになり、面倒くさそうな表情を浮かべている。
「早瀬くんも芙美ちゃんがここを辞めるのは嫌でしょ」
「いや、俺は別に……」
そこまで言って、彼は大きく欠伸をした。どうやら眠たいらしい。その様子に、やはり早瀬先生は私になんて興味がないのだと改めて思い知らされる。