俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
「んっ……」
唇を割って侵入してきた舌が口内を荒々しく暴れ回る。舌を絡め取られると、さらに口づけが激しくなった。
普段の幸也さんとはまったく違う乱暴なキスがこわくて、瞳に涙がじわっと浮かぶ。
しばらくしてようやく唇を解放されると、涙がぽろっと頬を伝った。それを見た幸也さんが目を見開き、表情を歪める。
「悪い。嫉妬した」
幸也さんが背を向ける。そのまま私を置いてエントランスに向かって歩き去った。
その背中をすぐに追いかけられなくて、しばらくぼんやりと立ち尽くす。
嫉妬、と幸也さんは言った。
私と陸くんが抱き合っていたからだろうか。
私の行動が彼を怒らせてしまったと気付き、すぐに謝ろうと自宅に戻ったけれど、幸也さんは私とは目を合わせてくれず、口も聞いてくれなかった。