俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
「実は、早瀬先生と――」
そう切り出して、私は最近の幸也さんとの関係について打ち明ける。
その前に私たちの関係が発展して両想いになったことを伝えれば、未華子先生はそれほど驚く様子もなく「おめでとう」と、にやにやと笑っていた。もしかして幸也さんから聞いていたのだろうか。
そのあとで、従弟の陸くんに抱き締められていたところを幸也さんに見られてしまったことや、それ以来不機嫌な態度の彼に避けられていることを相談すれば、未華子先生は困ったように微笑んだ。
「それは、早瀬くんがヤキモチを焼いているのね。たとえ従弟でも芙美ちゃんが自分以外の男性に抱き締められている姿を見てショックを受けて、拗ねているのよ」
「私がいけないんですよね」
しょんぼりと背中を丸めた私はテーブルの上のドリンクカップを両手でぎゅっと握り締める。
逆の立場で考えたとき、幸也さんが私以外の女性を抱き締めている場面に遭遇したら、私だって傷付くと思う。
「だからといって、芙美ちゃんのことを避け続けている早瀬くんもよくないわね」
未華子先生が少し怒ったように口にした。
「彼のことだから、自分が嫉妬しているのも、そのことが原因で芙美ちゃんのことを避けているのもよくないことだって自分自身でも気付いているはずよ。でも、早瀬くんの性格を考えると、今さらその態度を変えられなくなっているんじゃないかな」