俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない

「芙美さんは早瀬さんと同じ病院の小児科病棟で医療クラークの仕事をしているのよね。年齢は二十六歳って聞いたから私よりもふたつ年下ね」

神名先生に結婚の挨拶に行ったとき、幸也さんが私のことを詳しく紹介していた。智花さんはそのときの情報を父である神名先生から聞いたのかもしれない。

「別の病棟に勤務す早瀬さんとは成田さんを通して知り合ったって聞いたけど」
「はい」

神名先生には私たちの出会いの経緯をそう説明していた。本当のことだけど、そこから親しくなり交際に発展したというのは結婚挨拶用の嘘だ。

「智花さんは、未華子先生ともお知り合いなんですか?」

彼女の口から未華子先生の苗字が自然と出てきたので尋ねてみると、「ええ、もちろん」と智花さんが頷く。

「早瀬さんと成田さんって仲良いわよね。お互いのことを理解し合っていて素敵な関係だと思わない?」
「そうですね。幸也さんと未華子先生がふたりで話していると、そこに私の入る隙間はないってよく思います。幼馴染の固い絆には適わないというか……」

今日も未華子先生に幸也さんと仲直りするためのアドバイスを貰ったばかりだ。

さすが幼馴染だけあり、未華子先生は幸也さんのことを知り尽くしていてすごいと思う一方で、胸がざわついた。

未華子先生に嫉妬してしまったのだ。
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