俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
「幸也さん、夕食は?」
「適当に食べた」
「なにか飲みますか?」
幸也さんの目がちらっと私に向けられた。
「それじゃあ麦茶を一杯」
「麦茶ですね」
話し掛けてもいつものように避けられるかもしれない。そう思っていたが普通に言葉を返してくれたのでホッとした。
急いでキッチンに向かい冷蔵庫から麦茶を取り出してグラスに注ぐ。それを幸也さんのいるソファまで持っていった。
「ありがと」
グラスを手渡すと、喉が渇いていたのか幸也さんは一気に麦茶を飲み干した。
空になったグラスを近くのローテーブルに置いてから、「隣に座るか?」と彼が横にずれて場所を開けてくれる。
最近の幸也さんの様子を思えば意外な行動に驚いたものの、彼の隣にすとんと腰を下ろした。
「――その膝はどうした」
幸也さんの視線が私の足に向かっている。ショートパンツの寝間着を着ているため、両膝に貼ってある絆創膏がよく見えた。
とっさにそこを隠しながら「これはちょっと……」と、言葉を濁す。
「見せて」
幸也さんが私の両足に手を伸ばして床から離すと、持ち上げてソファに乗せた。
両膝を立てた体育座りのような状態で座らされると、幸也さんが膝の絆創膏をそっと取って傷の様子を確認する。
「擦過傷だな。どこかで転んだのか」
「あ、いえ。これは、その……」