俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
確かにそれはいい案かもしれない。でも、そんな都合のいい人がいるのだろうか。
それに、お見合いはもう二週間後に迫っている。父も認めるような優秀な医者と出会える確率なんて低いだろうし、そもそもいきなり結婚は無理だ。
不本意な現状を打破できそうな、とても素敵な提案だけれど実現させるのは難しいだろう。
「未華子先生、ありがとうございます。私のためにとてもいい案を考えてくださって。でも、父が認めるようなエリートで将来有望な医者がいないと、その案は無理かなと思うんです」
「なに言ってるのよ、それならここに適任がいるじゃない」
未華子先生が早瀬先生の肩を掴んで体をぐっと引き寄せる。その突然の行動に、頬杖をついて窓の外をぼんやりと眺めていた彼が「おいっ」と怒ったように未華子先生を睨んだ。けれど彼女に怯む様子は見られず、ぐいぐいと早瀬先生に詰め寄る。
「早瀬くん、今の話もちろん聞こえていたわよね。あなたも結婚急かされている仲間でしょ。だったら芙美ちゃんと結婚するのはどう?」
「未華子先生!?」
突然なにを言い出すのだろう。焦ってしまうけれど、未華子先生はこの案がうまくいく自信でもあるのかにこにこと笑っている。