俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
「早瀬くんが飛びぬけて優秀で、将来有望な心臓血管外科医だってことは芙美ちゃんも知っているでしょ」
「それは……はい、もちろん」
ちらりと早瀬先生に視線を向ける。目が合って、恥ずかしさからか思わず逸らしてしまった。
確かに、彼ほど優秀な医師ならば父も結婚相手として認めてくれるかもしれない。それになにより私は早瀬先生のことが好きだ。
そんな彼と結婚ができるなんて夢のような話だ。けれど、それはあり得ない。早瀬先生がこの提案に頷くとは思えないから。
「ねぇ、どうかな早瀬くん。芙美ちゃんのことを助けてあげられるのはもう早瀬くんしかいないのよ」
「未華子先生。私なら大丈夫なので」
そんなに大袈裟な言い方をしなくても。
すると早瀬先生がイスの背もたれに背中を預け、腕組みをしながら「結婚かぁ……」となにやら考えているような口調で呟いた。
「そうだな。俺が島野と結婚してやってもいい」
「えっ」
弾かれたように斜め向かいの席の早瀬先生を見た。