俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
「なによ。〝してやってもいい〟って。上から目線ね」
早瀬先生の言い方が気に入らなかったのか、未華子先生がぷりぷりと怒っている。けれどすぐに「ま、いっか」と気持ちを切り替えたようで、私を見ながらにっこりと微笑んだ。
「よかったわね、芙美ちゃん。早瀬くんが芙美ちゃんと結婚したいって」
「したいとは言ってない。してやってもいいと言ったんだ」
「どっちでもいいでしょ」
ぴしゃりと未華子先生が言い放つ。早瀬先生はムッとしたような表情を浮かべながら、再び頬杖をついて窓の外に視線を向けてしまった。
これはいったいどういう展開なのだろう……。
ふたりのやり取りをぼんやりと眺めていた私に未華子先生が声を掛ける。
「芙美ちゃんが嫌じゃなければ、早瀬くんと結婚するのはどうかな。彼は性格にちょっと問題ありだけど外科医としては優秀だし、根はいいやつだから。そこは幼馴染の私が保証する」
未華子先生が自身の胸をトンと叩いた。