俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない

彼女を含む小児科病棟の医師や看護師たちは、子供たちに安心やリラックスを与える環境づくりにも気を配っているため、身に着けるものにも工夫している。

一方の事務員の私は病院から支給された制服を着用していて、上は小さめの襟のついたチェック柄の半袖オーバーブラウスで、下は紺色のラップキュロット。

セミロングの黒髪は後ろでひとつにきっちりと結び、化粧はファンデーションを塗り、眉を描いて、色付きのリップを付けただけの簡単なものだ。

「お腹すいた~。いただきます」

未華子先生が両手を合わせてさっそく食事を始める。定食の生姜焼きを豪快に頬張り、すぐにお米も口の中に入れてもぐもぐと咀嚼する。

医師である彼女は毎回決まった時間に休憩が取れないため、食事も片手間に取ることが多い。だからこうして時間に余裕があるときは、がっつり食べると決めているそうだ。

目の前でぱくぱくと食事を口に運び、「おいし~」と幸せそうに微笑む未華子先生を見ていると、なぜか私まで頬が緩む。

未華子先生は私の憧れだ。
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