俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
観察するように島野を見ていると、そんな俺の視線から逃げるように彼女の目が逸れた。
パイナップルの折り紙にテープをつけて、それを壁に貼ろうと手を伸ばす。
「あれっ、届かない」
どうやら自分の頭の位置よりも上に貼り付けたいらしい。背伸びをして腕を伸ばしているが、目的の場所には届かないようで、さらに踵を浮かせて爪先をたてた。
不安定な態勢のまま手を伸ばしたため、バランスが取れなくなったのか、島野の体がふらっとよろめく。
「きゃっ」
「あっ、おい、バカ」
転びそうになった島野の腕をとっさに掴んで引けば、今度は俺の方に彼女の体が倒れてくる。それを支えるように腰に手を回すと、正面から抱き合うような態勢になった。
「すみません、早瀬先生」
図らずも俺に抱き締められる態勢になり、俺の腕の中で島野があたふたと慌てている。
なにがそんなに恥ずかしいのか知らないが、耳まで真っ赤にしているのがおもしろくて、ついからかいたくなった。
島野の腰に回した腕に、さらに力を込めて引き寄せる。
「えっ、あ、あの、早瀬先生」
さっきよりも動揺した島野の声が聞こえてくる。もぞもぞと体を動かして俺の腕の中から抜け出そうとしているができないらしい。
ふと甘い香りが鼻腔をくすぐった。