俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
「お前からなんかいい匂いする?」
島野を抱き締めたまま背を屈めて、彼女の耳裏に顔を寄せた。
鼻をすんすんとさせて匂いを嗅げば、ふんわりと甘い香りがさっきよりも強く香ってくる。
「香水? いや、つけちゃだめか。これって秋になるとよく香ってくるよな」
「たぶんトリートメントの香りでしょうか。金木犀ですよね」
島野に鼻を近付けながら、これはいったいなんの香りかを考えていると、彼女が教えてくれた。
「九月から十月頃に咲くオレンジ色の花の名前です。その花の香りがするトリートメントを使っているので、たぶんその匂いかと……」
「へぇ」
すんすんと香りを確かめる。どうやら金木犀という花の香りらしい。
好きなタイプの香りで、胸が甘くくすぐられる。
「いい匂いだな。ずっとこうしてお前を抱き締めていたくなる」
「えっ、早瀬先生!? やめてください」
ふと、ちょっとしたいたずら心が芽生えて、島野の耳に唇を軽く触れさせれば、彼女の体がピクッと震えた。
くすぐったかったのか「……んっ」とまるで情事を思わせるような声を漏らすので、俺の中の嗜虐心が刺激される。
舐めてやればどんな反応をするだろう。
しかし、ここは職場なのでグッと堪えた。