俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
島野の体を解放すれば、茹でダコのように顔を真っ赤にして固まっている彼女と目が合う。
ちょっとやりすぎたと反省する一方で、たったこれだけのことでこの動揺振り。おそらく男性経験がないのだと察した。
「これ、どこに貼ればいいの?」
ついいじめてしまった謝罪も込めて、島野が手に握っていたパイナップルの折り紙を奪い、彼女が手の届かなかった場所に貼ってあげることにした。
「自分でできるので大丈夫です」
「また転ぶぞ」
「うっ……。それじゃあ、あのあたりにお願いします」
島野が申し訳なさそうに指を差した場所に軽く腕を伸ばして折り紙を貼り付ける。チビな彼女が背伸びをしても届かなかった場所だが、俺なら簡単に手が届いた。
「他には? まだ貼るのがあるならやるけど」
「じゃあお言葉に甘えて。これとこれを、あのあたりに」
島野が制服のポケットからさくらんぼとバナナの折り紙を取り出した。指示された場所にそれらを貼っていく。
「これで終わり?」
「はい。今ので最後です。ありがとうございました」
島野が深々と頭を下げる。それから不思議そうに俺を見上げた。