俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
でもわかっている。これはこの場限りの言葉で、早瀬先生の気持ちが伴っていないことくらい、ちゃんと理解している。
だけど一年近くも彼に片想いを続けている私からすれば、さっきの言葉は破壊力抜群の甘いセリフなのだ。
「そうか」
早瀬先生の言葉に頷いた父が、手に持っている婚姻届をテーブルにそっと置いた。
「芙美、お前は早瀬くんに幸せにしてもらいなさい」
しっかりとした字で承認欄にサインを書きながら、父は私のことを見ずに静かにそう告げた。