俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
「先生は小児心臓外科医として有名な人で、俺は神名先生に憧れて、先生のもとで学びたくて大学を選んだ」
早瀬先生は恩師である神名先生をとても慕っているのだろう。
「郡司総合病院に来たのも神名先生に勧められたからだ。心臓血管外科が有名だから、たくさんの症例があって勉強になるし、早いうちから留学もさせてもらえると聞いて」
「早瀬先生は、うちの病院のエースですもんね」
「そのエースと結婚できるんだから、お前もっと喜べよ」
冗談っぽくそう言って早瀬先生が笑う。そのちょっと意地悪そうな笑顔に胸がきゅんとときめいた。
「早瀬先生。帰りの新幹線にはまだ時間があるので、このあとなにか食べて帰りませんか。私がご馳走します。地元なので美味しいところをたくさん知っているので」
現在の時刻は午後一時。思っていたよりもだいぶスムーズに父から結婚の許可を貰うことができたので、帰りの新幹線の時間までにはまだあと二時間はある。
父がお寿司の出前を取ってくれたので、昼食は実家で食べたばかりだけれど、軽くおやつならお腹に入るだろう。ちょうど駅前に美味しいスイーツの店を知っている。
さっそくそこに行こうと思っていると、早瀬先生が私から静かに視線を逸らした。