俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない

仕事中には決して見ることができない自然体な笑顔にドクンと胸が甘く高鳴った。それを悟られないよう平常心を装い、落ち着いて口を開く。

「ここの旅館は温泉の評判が高いんですよ。大浴場からの景色も素晴らしいそうなので、そちらも気になります」

泊まったことはないけれど、地元でも有名な旅館なので情報だけは知っている。

「それじゃあまずは大浴場から行くか。夕食までにはまだ時間もあるから」
「そうですね」

ふたりそろって部屋を出て大浴場に向かう。途中で早瀬先生と別れてから女風呂に向かうと、時間帯のせいか脱衣室は混雑していた。

大型連休真っ只中ということもあり、普段よりも宿泊客が多いのだろう。

大浴場も混み合っていたが、評判だという温泉を堪能し、夕食の時間に間に合うよう部屋に向かう。すると一足先に戻っていた早瀬先生が浴衣姿でくつろいでいた。

「お帰り。風呂どうだった?」
「温度もちょうど良くて気持ちよかったです。景色もきれいでした」

早瀬先生とはテーブルを挟んだ向かいの座椅子に腰を下ろす。

私は浴衣の上から紺色の羽織を羽織っているのだが、早瀬先生は暑いのか羽織っていない。浴衣の襟元から胸板がちらっと覗いて、目のやり場に困った。
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