俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない

「夕食のあとにでも入ってくれば?」
「そうします。早瀬先生も入りますよね」
「もちろん。でもお前のあとでいいよ」
「いえ、早瀬先生がお先にどうぞ」

彼の好意により私も一緒に泊まらせてもらっているので、私が先に露天風呂に入るわけにはいかない。ここは早瀬先生が一番に入るべきだ。

「じゃあさ、一緒に入る?」

テーブルに頬杖をついて私を見る彼の口角がいたずらっぽく持ち上がった。

「ふたりくらい余裕で入れる広さだし、せっかくだからそうするか。ほら、俺たち夫婦になるんだから」
「えっ、いえ、でも、それはちょっと」

本気で言っているのかはわからないけれど、私はわかりやすく動揺してしまう。早瀬先生と一緒にお風呂になんて入ったら、緊張してのぼせてしまいそうだ。

そのとき、襖の向こうから仲居さんらしき女性の声がした。いつの間にか夕食の時間がきていたらしい。

仲居さんたちが次々と料理を運んでくると、テーブルの上が華やかになった。

漁港直送の新鮮な魚を使った刺身や、旬の食材を使用して季節に合わせた料理の数々。

さっそく食事を始めると、どれもとても美味しくて、けっこうなボリュームがあったもののペロリと完食した。

どの料理も絶品だったけれど、土鍋で炊いたのどぐろの炊き込みご飯の味が忘れられない。
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