俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
「出来が悪いや落ちこぼれなんて言われて、それを素直に受け入れるな。そんな風に言われたら悲しいって思うのが普通だろ」
そう告げる早瀬先生の声にはどこか怒りが含まれているように感じた。
「俺の妻になるなら、お前はもっと強くなれ。これからは俺がお前の味方になるから」
「早瀬先生……」
口調は少しこわいけど、きっと彼なりに私にエールを送ってくれているのだろう。
「ありがとうございます。私も早瀬先生のことを支えられるように頑張ります」
「のぼせて倒れてるやつにそんなこと言われても、頼りないな」
早瀬先生が口元を緩めてふっと笑った。
「でも、これからよろしくな、芙美」
頭にそっと触れた手が、まだしっとりと湿っている私の髪をくしゃりと撫でる。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
来週は早瀬先生の恩師である神名先生に結婚の報告。また別の日には彼のご両親に挨拶するため、東北にある実家に向かうことにもなっている。
今月中には婚姻届を提出する予定だ。