俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
その意見には同意してしまう。早瀬先生と未華子先生が付き合っているという噂もあるくらい、ふたりは周囲から見てもお似合いだから。
「まだ成田先生と結婚してくれた方が諦めついたのに。あの地味な事務員、どんな手を使って早瀬先生を落としたんだろう」
「地味に見えて意外とすごいのかもよ。ベッドの上のテクニックが」
「ああ……。早瀬先生も男だからそういうのにコロッと落ちちゃうのかなぁ」
なるべく気にしないよう昼食を取っていたが、ここまで言われてはさすがに気分が悪くなってくる。ここにいると勝手に耳が彼女たちの会話を拾ってしまうのでそっと席を移動した。
お昼休憩を終えて午後の勤務が始まると、新しく入院する患者が訪れたので付き添いの両親に手続きや案内などを行う。
そのあとは緊急で入院してくる子供がいると連絡があり、書類関係や病室のセッティングなどに追われた。
しばらくして到着したのは急性虫垂炎の疑いのある小学四年生の男の子。
体調不良を訴え、近所の小児科を受診して血液検査をしたところ白血球の数値が異常に高く、付き添いの母親と共に紹介状を持って受診に来た。
診察をしたのは未華子先生で、血液検査や点滴などを行ったあとは、外科の医師にも診てもらうことになった。
CT検査やエコー、心電図などの検査の結果、やはり急性虫垂炎と診断されて、症状も進んでいるため緊急手術で虫垂を切除することに。
一時間ほどで手術は終了。男の子は病室に移り、数日間入院することになったので、付き添いの母親に入院中の説明などをした。