俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない

郡司総合病院の心臓血管外科には成人と小児があり、早瀬先生は成人チームに所属している。

アメリカで四年間の臨床留学を終えて、二年前に郡司総合病院に戻ってきた彼は同年代の外科医の中でも抜きん出て優秀で、一目置かれた存在でもあった。

早瀬先生の専門は成人の心臓だけれど、チームが異なるとはいえ小児の手術に関する情報も共有しているのかもしれない。未華子先生の問いに「ちょっと個人的に気になってな」と、彼は答えた。

「それで、こうたくんの様子は?」
「順調に回復しているよ。ね、芙美ちゃん」
「えっ⁉」

いきなり話題を振られてピクッと肩を跳ねさせると、早瀬先生の視線が私に移動する。

さっきまで未華子先生としか話していなかった彼は、どうやら同じテーブルの斜め向かいの席に座っている私のことは意識していなかったらしい。お前もいたんだなとでも言いたそうな目で見られて切なくなった。

とりあえず、未華子先生に話を振られたので答えないと。

「こうたくんなら歩行のリハビリを頑張っています」

病室からリハビリセンターまでの送迎を任されているため、午前中もこうたくんに付き添ったばかりだ。
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