俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
「それよりも、私と結婚したことで早瀬先生まであまり良くないことを言われてしまっていたらすみません」
「俺のことはいいんだ」
ぴしゃりと告げた早瀬先生の表情がさらに険しくなる。眉根を寄せてあからさまに不機嫌な顔をしているが、彼を怒らせるようなことをなにか言ってしまったのだろうか。
「でも、私が早瀬先生と釣り合いが取れれば、看護師さんたちからもあんな風に言われなかったと思うので。私に魅力がなくてすみません」
しょんぼりと肩を落とす。もしも彼の結婚相手が未華子先生ならば、きっと周囲に祝福されていたに違いない。
「そんなこと言うなよ。お前にだって魅力はあるだろうが」
早瀬先生はそう言うと、俯いていた私の顎を指先で掬いあげた。
高い背を屈めて顔を近付てくると、私のことを捉えるようにじっと見つめる。
「少なくともお前は、俺の心を何度もくすぐってくるくらいには魅力的だ。今もそんな風にしょんぼりされると、俺はお前を放っておけない」
早瀬先生の顔がすぐ目の前に迫り、気が付いたときには柔らかいものに唇を塞がれていた。
大きく目を見開くと、長い睫毛を伏せて私にキスをする彼の顔が目に入る。ゆっくりと唇同士が離れて、私を見下ろす早瀬先生の表情にはもう先ほどまでのような不機嫌さは消えていた。
代わりに熱を宿すような甘い視線が私を捉えて離さない。