俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない

「早瀬先生。おはようございます」

しばらくしてシャワーを浴び終えた彼がリビングに顔を出す。

下はゆったりとしたルームウェアを履いているが、上半身は裸で首にタオルをかけている。目のやり場に困るので、朝食用の出汁撒き卵を作ることに集中した。

「おはよ」

まだ少し眠たそうに、濡れた髪をタオルで拭きながら早瀬先生がキッチンに来た。冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出すとグラスに移してごくごくと飲んでいる。

「お前はいつも早起きだな。休みの日くらいもっと寝ていればいいのに」
「自然と目が覚めちゃうんですよね。それに早起きすると気持ちがいいし」

今朝も休日だというのに仕事の日と同じ時間に目が覚めた。朝からお米を炊いて、魚も焼いて、みそ汁も作って朝食の支度を完成させていく。出汁撒き卵も上手にできた。

昨夜は遅くに帰ってきた早瀬先生は夕食を食べそびれたらしいのでお腹が空いているはず。

出汁撒き卵を食べやすい大きさに切っていると、隣からすっと手が伸びてきて、そのひとつを掴んだ。あっという間に口に放り込んでつまみ食いをした早瀬先生が頬を緩めて「うまいな」と微笑む。

それだけで私の心臓は朝からうるさく暴れ出す。ドキドキして、朝食の支度をする手がすっかり止まってしまった。
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