俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない
「えっ。陸くん⁉」
モニターの向こうでにこにこと笑顔を浮かべて手を振っているのは、私の三つ年下の従弟の陸くんだ。父の弟の息子で、都内の医学部に通う現役医大生でもある。
そういえば結婚の報告をしたところ、新居に遊びに来たいと話していた。住所を教えていたのだが、まさか連絡もなしに突撃してくるとは思わなかった。
「早瀬先生。従弟が来ているのですが、家に上げてもいいですか」
「従弟?」
半袖シャツに腕を通していた彼が怪訝そうな顔をしながらも「別にいいよ」と言ってくれた。
「ありがとうございます」
インターホンの解錠ボタンを押してエントランスのオートロック扉を開ける。しばらくしてから再びインターホンが鳴ったので玄関の扉を開ければ、「おじゃましまーす」と陸くんが勢いよく飛び込んできた。
「芙美ちゃん! 会いたかったよ~」
思いきり抱き着いてきた陸くんを受け止めきれずに体がふらつく。なんとか耐えたものの、今度は後ろから腕を掴まれて、陸くんから引き離されるようにぐっと強く引っ張られた。
背中がなにかにぶつかり、背後からお腹に回ってきた腕が私のことをさらに引き寄せる。